2017年3月4日土曜日

トランジスタによる水晶正弦波発振器の設計 (14MHz)

トランジスタによる水晶正弦波発振器の設計 (14.46MHz)を試みた。

図6.に示した水晶モデルのAC解析結果を図1.に示した。
この水晶モデルは、約14.46MHzに同調周波数があり、インピーダンスが極小になる。

発振器の共振周波数は図1.に示すように、f=1/(2*π√(LC)) [Hz]で計算でき、AC解析の同調点と一致した。
同調周波数 14.46MHzよりちょっとだけ高い周波数に鋭く切れ込んで、インピーダンスが大きくなるNull周波数が見られる

水晶発振器で使うLC共振回路の周波数は、この鋭いNull周波数側に同調しないように、共振周波数 14.46MHzより低い周波数に同調させる必要がある

同調周波数14.46MHzより少し高い周波数にLC同調回路を同調させると、急激に発振が停止する現象が発生する原因は、こうした水晶のインピーダンスが極大になる特性にあることが分かった

図1.  14.46MHz 水晶のAC解析

図2. トランジスタによる水晶発振回路で、コレクタ側にLC同調回路を持ち、コイル二次側から発振信号を取り出す回路を構成した。

FFT解析は、このケースでは .tran 5m startup の指定では、正しい結果が得られないので注意が必要。
正しい結果を得るFFT解析として、図3. のように解析時間幅を拡大する方法でこの不具合を回避できる。

図2. トランジスタによる水晶発振器 正弦波=14.46MHz 発振開始時の過渡解析結果

図3. トランジスタによる水晶発振器 正弦波=14.46MHz 過渡解析 時間軸拡大


図3: 過渡解析結果の時間軸を拡大すると、発振電圧波は概ね正弦波の形状で、目的周波数 14.46MHz近辺にあることが確認できた。
しかし、振幅電圧には小さな電圧の揺れが見られる。



図4. ベース抵抗の変化と発振開始時の過渡現象解析

図4.では、ベースバイアス抵抗を変化させ、発振スタートアップ時の過渡状態を見てみた。
バイアス電圧で発振開始時間が変化し、発振開始時の不安定な現象が出る現象を回避するR1の値をパラメトリック解析で探してみた結果。
2kΩ〜3kΩが安定な感じとなった。


図5. 発振波形と周波数スペクトルのFFT解析

図5.では、正弦波の純度をみるため、ベース抵抗を変化させてみた。
かなり高調波スプリアスが多く、振幅も一定にはならない、課題を持っている回路特であることがわかってきた。


図6. 水晶のモデル定義例 14.46MHz
水晶の定義モデルを図6.に示した。

ここの回路では、従来式のLC共振回路を使ったもので実機でも十分に実用になるが、より安定した振幅電圧と高い周波数純度を得たいという課題、時代の流れで、LC同調回路はできるだけ使わない回路にしたい、という課題があるので、次の記事で、クロック発振器を正弦波に変換するフィルタ方式を検討することにした。

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