2015年9月20日日曜日

対称型DC低周波アンプの基礎実験

アナログICの設計では、集積回路の制限上でコンデンサやコイルを使わずに、トランジスタ、ダイオード、抵抗を接続しなければならないようです。

以下、こうしたDCアンプと呼ばれている回路は非常に良好な増幅と位相の特性を目指す設計手法がとられているようですが、理想の実現は困難を伴うことがわかってきました。

(1)過渡解析


このテスト条件では、安定したサイン波電圧の増幅を歪を少なくできている結果が出ています。この設計の過程で気づいたことは次の通りです。

負帰還をかけすぎると発振しやすい特性が高い周波数域に現れる

➁トランジスタ・アンプの利得を高めるために、トランジスタを使った能動負荷回路を使用することになっており、それにより確かに利得は上昇するが、入力できる電圧範囲(ダイナミックレンジ)が狭くなり、ほんのちょっとだけ入力を上げるだけで発振が始まってしまう。

(2)利得・位相特性


①大変高い利得が広い帯域の周波数で得られる一方で、周波数高域で利得の上昇が見られ回路動作は不安定な要因を含んでいるようです。この利得の高域周波数でのピークは、負帰還が大きすぎると出てくる特徴のようです。利得の上昇と安定性を持った負帰還回路を構成することが課題となりました。

トランジスタを使った能動負荷回路に使う利得上昇方法は、入力信号のダイナミックレンジを狭くしてしまい、ちょっとの入力上昇で回路が発振しやすくなり、実際発振してしまう課題も抱えていることがわかりました。(魔法のつえのように聞かされるトランジスタを使った能動負荷回路の落とし穴と思いました。)

モトローラMC1350 IF IC アンプでは、ハイゲイン45dB (約50MHz) AGC電圧利得制御約60dB と、いう優れた高利得と、広いダイナミックレンジが実現されており、こうした集積回路設計の優れたお手本と思われます。

(3) 入力ダイナミックレンジ評価の課題

上記(1)(2)の過渡解析とAC特性解析の他に、入力ダイナミックレンジの広さ(微小電圧信号から大きな振幅電圧信号)を歪みなく増幅できる性能を別途評価する必要性がわかりました。
(微小信号になると増幅がされない、ちょっと入力信号レベルを上げただけで発振する、という課題の存在を知るに至りました。)


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Revision:
Rev.0.1: 誤記訂正、☓:カレントミラー回路、 ◯:トランジスタを使った能動負荷回路 
強調文の文字属性変更:Bold体+アンダーライン追記
6/6/2017





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