2015年9月12日土曜日

リング復調器の実験(長波 135KHz対応)/知られていない広帯域ノイズの発生特性

Noboru Aoki, Ji1NZL

長波 135KHz を受信するSSB復調器を構成してみました。

(1) 135KHz サイン波の受信動作


 復調は正常にされます。長い間実用に使われてきた実績ある回路を、spiceでその動作のしかたを捉えようとしています。


(2)ダイオードDBMで起こっている現象


 ダイオードのリング復調器は、回路図上完全に平衡しているので、クリーンなミキサー(乗算器)動作が起こるイメージを持っていたのですが、意外なことに、広帯域のノイズが発生しているらしいことが判明しました。

時間軸を拡大した赤の波形をみても、サイン波にはならない歪みが発生しています。



(3) 同調周波数の確認


AC解析を行い、目的周波数 135KHzに同調していることを確認しました。

上記回路には、適当なダイオードモデルが無いため、暫定的にショットキーダイオードBAT54を使っています。
1SS106でどうなるか試してみたいと思います。


(4) リング復調器・変調器の周波数変換原理:

この回路は、入力または局部発振器に、サイン波(正弦波)だけでなく、矩形波(クロック波/Square wave)を入力しても、アナログ乗算器のような周波数変換動作が起こるようです。

このダイオード・リング復調・変調回路で起こる周波数変換現象をスイッチング動作だけで説明しようとすると、小信号のサイン波同士で起こる周波数変換動作が説明できなくなります。

現時点では推定になりますが、ここの小信号同士のサイン波同士の周波数変換では、ダイオード内部で起こる電圧:電流の指数関数特性( i(t)=Is*{exp(K*v(t)-1)} )に由来する周波数変換動作についてのダイオード高周波モデルによる計算モデルが必要になると思われます。

(ダイオード内で発生する高調波成分は、前述のダイオード電流の指数関数式をテイラー展開した式に、周波数の異なる2つの周波数による高周波電圧を入力すると、2次、3次以降の高調波電圧が求まることが知られています。)

主流の周波数変換動作については、「アナログ乗算器による周波数変換が起こる現象と近似計算できる」一方で、発生するスプリアス成分を考慮した高周波電圧の計算式モデルは、現在でもまだ無いのかもしれません。(現時点でそうした情報が見当たりません。)


Rev. 0.1 Jan.2, 2017: (4) リング復調器・変調器の周波数変換原理を追記




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